前回の「グルメ・お土産編」では、佐渡の美味しい魅力をご紹介しました。
次は佐渡を「どう楽しむか」をお話します。
今回比較するのは、2013年から最新の2026年までの「体験」ページです。
手元にあるバックナンバーを並べてみると、かつては「教わる」ものだった観光体験が、いつの間にか「佐渡の文化に飛び込む」ものへと姿を変えていました。
13年で佐渡の「楽しみ方」はどう変わったのか。誌面からその進化を読み解きます。
前回のブログはこちら↓
本記事をお読みいただく際のご注意
※当ブログで紹介しているパンフレットは、すべて私が個人的に保管していたものです。
※掲載情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。最新の情報は各施設・店舗の公式HP等をご確認ください。
※個人的な記録のため、施設への詳細なご質問にはお答えできません。ご了承ください。
『佐渡さんぽ』でたどる体験の変遷
13年前から最新版までを並べてみると、一見、体験の紹介ページ数が増えたように見えますが、実はかつての号では各エリアの紹介ページに体験情報が冊子のあちこちに散らばって掲載されていました。
最新版ではそれが整理・集約されたことで、より「体験」というカテゴリーが際立つ構成になっています。
単に数が増えたわけではなく、時代のニーズに合わせて「研ぎ澄まされてきた」というのが正しいのかもしれません。
2013年:伝統文化を「教わる」学びの時代
2013年の誌面を飾っていたのは、「無名異焼」や「裂き織り」、「そば打ち」といった伝統工芸・文化の数々。

メインコピーは「受け継がれた伝統の技を思う存分堪能する。」でした。
この頃は、ベテランの職人さんや地元の方に「手ほどきを受ける」という、真面目で温かい「学び」の旅が主流だったことが伺えます。
一方で、最新版では見かけなくなった体験もあり、13年という月日の間に、観光スタイルの変化があったことも感じさせます。
2018年:海のアクティビティの爆発と「伝統の再編」
2018年版は、非常にエネルギーに満ちた構成です。

『思い出と作品を佐渡旅のお土産に』というキャッチコピーがあり、多種多様な体験を紹介していました。
・海のレジャーの多様化: 以前からのダイビングに加え、シーカヤックや高速モーターボートでの「琴浦洞窟めぐり」などが大きく扱われています。
・食の体験の登場: 「佐渡の塩と米 極上オニギリ作り体験」が登場し、単なる見学ではない「島の恵みを味わう体験」が新たな魅力として加わりました。
・伝統の継続: そば打ちや無名異焼、太鼓体験もしっかりと継続されており、新旧のバランスが取れた「体験メニューの充実」が強調されています。
この時代の体験の紹介ページを見てみると、佐渡に初めてくる人よりも2回目や3回目などの人をターゲットにしているような感じがしました。
2019年〜2021年:より深く、よりニッチな「エンジョイプラン」時代
この時期、誌面は「佐渡で発見!エンジョイプラン」という統一テーマで展開されます。

ここでは、より「通」好みの体験が目立つようになります。
・精神性と歴史への没入: 2019年版では、長谷寺での「暗闇体験」や、相川の「町ふれあい歴史散策」など、島の物語に深く入り込むプランが紹介されています。
・独自の移動手段: 2020年版からは「佐渡八十八ヶ所霊場を電動アシスト付き自転車で巡る」といった、島独自の移動そのものを楽しむスタイルも提案されています。
・情報の集約: この期間はプラン数が厳選され、WEB予約(エンジョイプラン専用サイト)への動線が非常に整理された、機能的な構成へと進化しました。
2025年:「サドベンチャー!」と2種類の体験
まず体験プランが「サドベンチャー!」としてブランド化されていました。
これは2022年から2024年までの間に始まったのか、2025年からなのかは不明です…。

そして「自然(NATURE)」と「文化(CULTURAL)」の2軸で体験は整理されていました。
・没入感の向上: 加茂湖でのSUPや達者海岸でのナイトカヤックなど、島の自然にダイレクトに触れるプランが強調されています。
・国際化: 無名異焼の紹介カットには外国人観光客が登場し、伝統工芸が「世界のSADO」の文化体験へとアップデートされました。
2026年:島の精神性に「没入する」アドベンチャーの時代
最新版ではこの流れがさらに加速。
「鬼太鼓になって踊ってみる」といった、一歩踏み込んで島の文化にような、高付加価値なプランが体験の目玉となっています。

かつて点在していた体験情報が整理され、「佐渡でしかできない特別な体験」として強力にブランディングされています。
不動のアイコン「たらい舟」の驚くべき進化
13年間、すべてのパンフレットでメインを張り続けているのが「たらい舟」です。 しかし、その見せ方も進化しています。

・2013年: 「一度は乗らなきゃ!」という王道の紹介。
・2018年: 爽やかな海の上での「映え」を意識したショット。
・2025年: 夕景を楽しむ「サンセット体験」などフォトジェニックな紹介が中心に。
・2026年: 宿根木での「ナイトクルーズ(幻想篝火コース)」が登場。
かつての「乗るだけ」の体験から、時間やロケーションを掛け合わせた「忘れられない一瞬」を売る体験へと昇華されています。
筆者のひとりごと:失われた風景と思い出のウサギたち
こうして比較してみると、昔は当たり前に載っていた体験が姿を消していたりと、パンフレットは島の歴史を記録しています。
個人的にとても残念に感じている変化があります。
それは2019年で紹介されていた長谷寺(ウサギ観音)のウサギたちのことです。


かつては境内の雑草を食べてもらうために放されていたウサギたちが、現在は一匹もいなくなってしまいました。諸事情により、すべて里親さんの元へ引き取られたそうです。
お寺の敷地内でのびのびと過ごすウサギたちの姿は、訪れる人をほっこりさせてくれる温かくて貴重な風景でした。

私の両親が、私の子が小さいころに何度か一緒に連れて行ってくれました。
普段はその辺りでのんびりしているウサギたちでしたが、その日はは見えるところにあまりおらず、あまり姿が見られない時がありました。きっと奥の茂みの方に草を食べにお出かけしていたのでしょう。
そのため、子どもが「うさぎさん、いないね…。」とポツリ。
それをたまたま聞いた住職がポケットに手を入れて、薄茶色の小さなウサギの赤ちゃんを子供の手に乗せて見せてくれたのです。
生まれてまだ2週間くらいだというそのウサギの赤ちゃんは、まだ外気の寒さに震えてしまうので、優しい住職が大きなポケットの中に入れて温めてあげていたそうです。
小さくてフワフワな赤ちゃんウサギは非常に愛らしくてみんなメロメロになり見つめました。赤ちゃんウサギは怖がったりする様子もなく、子どもの温かくて小さな掌の中で気持ちよさそうにリラックスしていました。
その経験からか子どもはウサギが大好きになり、私の両親がその時の赤ちゃんウサギにそっくりなぬいぐるみを買ってくれたのです。
そのぬいぐるみは「ぴょんちゃん」と名前を付けられて、今でも娘は大切にしています。
・・・
時代の流れや価値観の変化といえばそれまでですが、あの愛らしい光景がもう見られないのだと思うと切なく感じられます。
私たちが当たり前に見ていた風景が、評価されて多くの人に認知されていく姿を見るのは誇らしい反面、失われていく小さな光景もその裏にはあるのだと感じた「体験編」の比較でした。
・・・
最新情報は公式HPをご確認ください↓
次回予告:モデルコースの変遷
「やってみたい体験」が見つかったら、次は「どう巡るか」。
次回 File.13 は「モデルコース編」です。
パンフレットが提案する「佐渡の歩き方」の変化を見ていきます。
お楽しみに。



コメント