自宅を整理していたら、昔の佐渡のパンフレットがたくさん出てきました。
生まれ育った佐渡を離れてから時間が経ちますが、パンフレットをめくると、当時の空気や思い出が一気によみがえります。
今の佐渡がどうなっているのかは分かりませんが、「昔はこんな雰囲気だったなあ」という記録として、そして私自身の思い出として、少しずつ紹介していこうと思います。
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今回は「トキの森公園」のパンフレットです。

現在では「トキのテラス」や「トキふれあいプラザ」など、トキを間近に見られる施設が充実していますが、このパンフレットからは、まだ「絶滅」という言葉が重く、保護活動に独特の緊張感があった頃の空気を感じます。
トキふれあいプラザのブログはこちら↓
トキふれあいプラザ開園日と“喋るサドッキー”の記憶|パンフレット紀行 File.01 | そら色の小ビン
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春を待つ相川ひなまつり 4月まで飾る我が家のおひなさま パンフレット紀行 File.08 | そら色の小ビン
本記事をお読みいただく際のご注意
※当ブログで紹介しているパンフレットや資料は、すべて私が個人的に保管していたものです。
※掲載している情報(店舗数・メニュー・価格・サービス内容・イベント情報など)は、発行当時の内容であり、現在の状況とは異なる場合があります。最新の情報については、各施設・店舗・自治体などのHPやSNS、公式発信をご確認ください。
また、パンフレットに掲載されている連絡先や個人名などの情報は、安全のため一部を伏せて掲載しています。
※こちらは個人的な記録のため、店舗へのお問い合わせや詳細のご質問にはお答えできません。
ご了承ください。
見えなかったトキと、二つの優しさ
今から30年ほど前、まだ 幼かった私は親に連れられてトキの森公園へ行きました。
何かのイベントだったのかお客さんが多かった記憶があります。まだ背の低かった私は大人の隙間から遠いケージの中のトキを探してもなかなか見つけられず、またその時のトキはたまたま見えづらい場所にいたのかもしれません。
施設から出る時、思わず「トキ、よく見えなかった」と親にこぼしたところ、たまたま近くでそれを耳にされた当時の施設長さんが、
「今はあまり見られないけれど、これがトキだよ。」
と、そっと2種類のポストカードをプレゼントしてくださったのです。
そこには日本産最後のトキ、キンの姿が写っていました。
『いつかまた佐渡の空をトキが飛ぶ日が来るように応援していてね』という気持ちが込められていたのかもしれません。
そのポストカードをいただいた時、とても嬉しくて特別な気持ちになりました。そして温かいお心遣いに感動したのを覚えています。

それから20年以上の時が経ち、自分の子供を連れて再びこの場所を訪れたとき、資料館の中に、剥製となって展示されていた「キン」の姿がありました。
2003年に日本産最後のトキ「キン」は世を去っていたのです。
それを見た瞬間、「ああ、あの日もらったポストカードで見たのは、このキンだったんだ」と、胸に迫るものがありました。
幼い頃、カードの中で何度も見たキンが、長い年月を経て今こうして剥製ではあるものの目の前で見ることができる。その事実に感慨深い気持ちになりました。
また、その時も入館する際に年配の男性が折り紙で折ったトキを子供にプレゼントしてくれました。(その方は施設の方なのか、トキのボランティアの方なのかは不明)
これは一つ一つ手作りで、首を持って尾をやさしく引っ張ると羽がパタパタと動く、心のこもった贈り物でした。

世代を超えて、訪れる人を温かく迎えてくれる。そんな「トキを守る人たち」の優しさは、昔も今も変わっていないようです。
元気だったころの祖母と歩いた風景
トキの森公園は静かで緑が豊か。
祖母の家がトキの森公園から比較的近かったこともあり、以前は祖母が飼っていた犬の散歩でよく一緒にこのあたりを歩きました。 池に本物そっくりのトキのデコイ(置物)がいて、ドキッとしたのも懐かしい思い出です。
そして帰省するたびの楽しみは、祖母を誘って食べる「エダマメソフト」でした。

施設に入館しなくても、駐車場のすぐ横にある売店で手軽に買えるのです。すぐ近くには野生復帰のシンボルである赤い「トキポスト」もあり、私にとってはお馴染みの風景です。

現在90歳を超える年齢になった祖母は足腰を悪くしてしまい、もういっしょにトキの森公園を散歩をすることができませんが、行き帰りの道中、祖母と色々な話をしながらのんびり歩きました。
今では、その時のような祖母とのなんてことのない会話がとても恋しいです。
現在、トキは佐渡の空へ

パンフレットには「放鳥トキの観察ルール」が記されていますが、今の佐渡では、施設の外でもこんな光景に出会えるようになりました。


かつては施設でさえ「よく見えない」と残念がっていたトキが、今はこうして田んぼで当たり前のように餌をついばんでいます。
この風景は、あの頃の施設長さんの優しさや、多くの人の努力が実を結んだ証なのでしょう。
まとめと次回予告
祖母と食べたエダマメソフトの味とともに、このトキ保護センターの周りの自然あふれる静かな景色と、トキの舞う佐渡の空をこれからも大切に想い続けていきたいです。


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